ライティングに重要な<明るさ感>とは
第一章 明るさは照度では決まらない
日本の照明の考え方の中心は、照度(ルクス)で表される明るさの基準が全てで、未だにリビングは「300ルクス必要」などと設計しています。約20年前に東京工業大学の乾正雄教授が執筆された「夜は暗くていけないか 暗さの文化論」という書籍は、私が考えていたことと同じことを指摘されていました。この書籍は暗さと文化レベルの相関関係を訴えたもので、私はその10年前位から実験を重ね「空間の明るさは照度で決めるべきではなく、<明るさ感>という別の基準を作らなくては」と考えておりましたので、まさに背中を押されたというか、間違っていないと感激したことを覚えています。
それでは、照度とは何なのか、明るさ感と何が違うのか身近な例を取り上げてお話しします。まずはダウンライトを考えてみてください。ダウンライトは、直下で必要な「照度」を確保する照明器具で、廊下だと1.5メートルピッチで2,3台とりつけてあるのが一般的です。そのため、廊下の床で100ルクス、手元で300ルクス程度の照度が確保されています。さて、この数値が明るいかどうかです。要するに「明るく感じられるのか?」という視点で考えてみましょう。
この廊下に昼間、外から帰ってくるとうす暗く感じます。ところが....。
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こちらの記事は当協会副会長 山中先生の「これからの住宅ライティング多様化するライフスタイルへの対応」の一部となります。照明を学んでいる方々へ向けての記事となります。