空間の仕上げに「光」は需要なファクター
照明メーカーで仕事していた頃、よく耳にした言葉ですが「基本照明」という証明のカテゴリーがハウスメーカーの業界には存在します。これは、共用部の照明やポーチライト等の居室以外の照明器具をセットにして、インテリアとは別に基本設備として家を計画する際に標準品で付帯する照明器具を指します。この呼び方に我々は少々疑問を持っています。
本来建築において「基本照明」とは「昼光採光」を指すものです。窓等から室内へ差し込む外光(自然光)のことです。以前にも書きましたが、建築物の照明計画を検討する際、常に外光の入光を考慮し午前中から夕方にかけては自然光のサポートとして最低限度の照明器具で計画、夜間は人工的な光源を中心に昼間とは違った空間演出を中心に照明計画を立てます。そうすることで暮らしにイロドリが作り出せ、夜の暮らしを豊かに演出、サポートできるのです。
この基本照明というポイントを中世の画家の絵画から読み解いてください。例えばバロック時代のレンブラント。彼の作品はとても繊細な自然光や人工光(この時代は蝋燭)が空間に与える表情を捉え、絵の中に陰影として再現しています。最近分かったことですが彼は両目の焦点が合わない「立体盲」だったそうです。片目だけでものを見て立体感を捉えているため、絵を描くときに、より強調して陰影を表現し、絵に立体感や奥行きや人物の息遣いまで表現したのでしょう。
他には、日本でも人気の高いフェルメールの絵も自然光と人工光という視点で今一度見ると、人物画の背景となる室内の描写にも基本照明の...。
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こちらの記事は当協会副会長 山中先生の「これからの住宅ライティング多様化するライフスタイルへの対応」の一部となります。照明を学んでいる方々へ向けての記事となります