ヒトの行動に応じた光環境の提供を
ヒトという動物は、他の動物とは違い「向日性」という行動特性を持っています。例えば、ほとんどの動物は火を嫌うのに対して人は古来より積極的に火を手にしてきました。また、人以外の動物は夜行性が多いのに対しヒトは昼行性です。ヒトは光に集い、憧れ、導かれています。
ヒトの「向日性」を巧みに利用すれば、店の集客を高めたり、店内をくまなく歩かせたり、狙う方向に進ませたりと照明計画によってコントロールがある程度可能になります。商業施設を設計する場合は、集客という視点でも照明の役割はかなりのウェイトを占めます。
昔からサバンナ効果と呼ばれるように、奥が明るいと、ついつい入って行ってします、逆に奥が暗いとなかなか空間に入れないといった行動心理があります。これも向日性の一種です。
身近な例は、高速道路のトンネルの形状です。まっすぐなトンネルをつくると、出口が先の方に見えますので、知らない間にアクセルを踏んでスピードが上がります。(図1)早く出たいという心理ですね。それを抑制するために、トンネルにカーブやアップダウンを組み入れ、出口に近づくまで外が見えないような工夫がされています。
図2は、エリアごとに壁面の照度をこのような設定にすると、お店に近づきながらウィンドウの明るさに興味を惹かれ、店の前に来た時に奥のエリアに期待が膨らみ店内に入ります。奥まで行くと両サイドに向かい、最後に店外に出ていく。この一連の行動の中で商品を販売するわけですね。照明設計する際は常にその光の中で、人がどう感じてどのような行動をとるのか。これがとても重要なポイントになります。
図3をご覧ください。ヒトが寛ぐ空間は、光の色を赤っぽく、照度は低めで間接照明。光の色…。
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こちらの記事は当協会副会長 山中先生の「これからの住宅ライティング多様化するライフスタイルへの対応」の一部となります。照明を学んでいる方々へ向けての記事となります