第25回オープンセミナー 質問とアンケート結果
2024年11月21に行われましたオープンセミナー(住まいの明るさとは 講師:馬場美次氏)に寄せられましたご質問と解答、アンケート結果でございます。JLCA会員にはアーカイブを視聴できるYouTubeの限定公開リンク先をメールにてお送りしております。マイページからも視聴可能でございます。
第25回オープンセミナー 質問と講師からの解答
Q. 白熱球からLEDに代わり、電球の交換頻度が減り、圧倒的な利便性が増えた一方で、電球選択の自由さや電球の温かみが失われましたが、スマートライトの登場により、物理的にスイッチングする心踊る楽しい動作が減り、さらなる電球の制限、ネットワークの制限が増えたかと思います。スマートライトに利便性ではない美しさや豊かさみたいなものは見出せますでしょうか?
IT関連の技術の進化はすさまじく、様々な問題を解決してくれます。解決の対象になるのは「そうなって欲しいと思う人が多くいる」場合です。スマートライトは便利ではありますが、基本は誰もが同意できる機能的便利さが進化の対象と想定します。美しさや豊かさは良いと感じる方向は各人「まちまち」である場合が多く、その「まちまち」の「まち」の部分は少数派になってしまいます。つまり、「そうなって欲しいと思う人はたくさんいない」事になり、なかなか進化の対象にはなりにくいと想定します。(馬場講師)
Q. 高齢者の住環境改善のための光環境の開発を考えています。現状、介護が必要な高齢者にどんな照明計画が理想かなど、お考えがあればお聞かせください。
ケアされる本人と、ケアする方では求められる照明は異なるのではと想定します。
本人:グレアを押さえた、低照度の空間。加齢の方は、水晶体の白濁もあり、若い方とくらべ、グレアは不快と感じます。加えて、十分な明るさの手元あかり。しかし、これは本人の嗜好もあるので、全体に明るい空間を望む方もいるかと思われます。ケアの程度にも大きく関係します。
ケアする方:大変な作業。細かい配慮と観察が必要。隅々まで明るいことが望まれる。
これらを切り替えることができる照明計画。切り替えるのは、基本ケアする方の作業になると考えます。(馬場講師)
Q. 住宅照明にLEDのダウンライトやシーリングは、光源が眩し過ぎることや、サーカディアンリズム的にも悪影響を及ぼす可能性があり、あまり相応しくないと考えますが、どう思われますか。
幾つかのサイトを検索すると、2500ルクス以上の光を1分間浴びると書かれている。2500ルクスは通常空間では室内で難しい明るさです。必要な波長は480nm。これは現在の白色LEDでは最も出力の少ない領域。日亜化学が新製品で480nmも含まれるLEDを最近開発した模様。つまり、現時点では、波長と照度共に、屋内ではサーカディアンリズムは働かないと考えます。「光源が眩し過ぎること」は、サーカディアンリズムとは別になるかと思います。明るすぎると感じるならば、照度を押さえた照明計画、グレアの少ない器具を選ぶことになります。(馬場講師)
Q. お客様から暗くないですか?と聞かれたときに「落ち着きがある雰囲気です」と答えますが、他に暗いことをお勧めする方法を教えてください。
私の場合は施工の前に事前に慣れてもらってます。まず瞳孔が開くと少ない光でも明るく見える事とその際に目への負担が減るので肩が凝らない等、身体の変化も伝えます。ただし、文字を書いたり細かな作業の際は、手元のみ照度が確保できる事を大前提にしています。実際に読書の際に照度を測りましたが、瞳孔が開いていれば30ルクス辺りが目が疲れずに読みやすいです。通常は、6畳で60W型のスタンドを部屋のコーナーに設置するか、間接照明でLED15w程度のテープライトをタンスやカーテンレールに設置して、現在の住まいで毎日、暗さに慣れてもらっています。2週間も経てば、目が慣れてきますので。クライアントに対しては、最近のホテルの客室や少し高級なレストランは極力明るくしない方向だとも伝えます。目にグレアが入らず、部屋の壁面が明るいだけで暗さ感は押さえられます。(山中講師)
第25回オープンセミナーを視聴された感想をお願いします。
・普段は月明りで十分と感じています。なかなか家族に理解してもらえず体験するスペースがもっと増えるといいなと感じました。
・暗い家が良い、というのは分かりませんが、昨今の傾向はやはり暗いライティングなのかなと思います。天井にライトをつけないで壁つけのライトにするなど。必要に応じて照明を設置できればいいな、と思います。"
・大変勉強になりました。
・暮らしの変化について面白かった。
・わかりやすいセミナーでした。明るさを深く考えていくと難しいと思いました。
・たいへん勉強になりました
・照明に関しての勉強をしたいと思っています。他では知ることができない内容で、大変ためになりました。ありがとうございました。
・大変興味深く勉強させていただきました。
・なかなか良い内容でした
・1年くらい前に馬場さんの学校の説明を聞きに行った者です。お話聞けてよかったです。やっぱりもっと照明の勉強がしたくなりました。ありがとうございました。
・今、お施主様から暗い照明(落ち着く)の依頼を受けているタイミングでしたので参考になりました。
環境に応じた明るさの考え方につき正解は一つではないという事を再認識いたしました。
・照明メーカーで仕事をしているので、共感出来ることが多くありました。自社以外の方の考えを伺える大変良い時間でした。
・サーカディアン照明を更に進化させ、暗さに特化した内容のセミナーは大変参考になりました。間接照明を扱う仕事をしているので、より自信を持って陰影のある空間作りをお勧めしていきます、有難うございました。
・興味深い情報ありがとうございました。
・新たな視点に気付けました
・住宅は、暗さが快適という考えである事を認識しました。
・セミナーを受講させていただきありがとうございました。zoomで開講していただけることで地方にいながら学ぶことができていつも感謝しています。
暗さに慣れる話、圧(笑)をかけてクライアントを説得させる話の部分についてもっと詳しく聞いてみたかったです。また、クライアント(エンドユーザー)の説得の前に社内の人間を暗さにならす必要があるなとも思いました。あらためて、本日はありがとうございました。
・住宅にあった明るさがある事がわかった
・住宅に最適な明るさがわかった
・"明るさについて、絵画や生活習慣などの側面から、現代の明るさ事情について解いていくのが大変面白かったです。「暗さに慣れると明るくなる」のお言葉は良いなと思いました。"
・照明の基本がわかりとても勉強になりました。
・音声が聞き取りにくかったです。
・すごく勉強になりました。受講してよかったです。馬場先生が校長をされている照明の学校も非常に気になりました。
次回セミナーに希望する内容はありますか?
・最近のライティングの傾向や人気の照明器具。
・スマートホームと照明
・スマートライティングや間接照明の要望があり詳しく学んでみたいです。
・暗い照明の良さについては実感しており、街中では少しずつ見受けられるようになりました。新大阪駅や銀座の地下鉄の通路など、違いますでしょうか?
私は、インテリアコーディネーターのため普段お施主様にご提案する立場ですが、シーリングライトの明るい照明しか知らないお施主様にどのようにプレゼンすればよいのか難しいところです。
また、照明メーカーの「1畳に60W1灯」の法則と違える場合には、どの程度抑えればよいのか自信が持てず難しいと感じています。
・次回は具体的な案や検討方法のお話が聞けると嬉しいです。
・施設、店舗の照明について
・照明についての体験会があれば参加したいです(今回のセミナーで言うなら暗さの体験会)
・基礎+最新の情報も含めた照明手法を学べるといいなと思います。
・海外視察などをされている先生方から照明のトレンドセミナーをお聞きしてみたいです。